必殺仕事人が…

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必殺仕事人でおなじみのあの藤田まことさんが、大阪地裁で3億円の支払を命ずる敗訴判決を言い渡されたそうです。
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藤田まことさん夫妻に3億円支払い命令…大阪地裁



9月8日7時40分配信 読売新聞


 俳優の藤田まことさんと、その妻に融資していた金融業者(大阪市、破産手続き中)の管財人が、貸付金3億円の支払いを求めた訴訟の判決が7日、大阪地裁であり、目代(もくだい)真理裁判官は管財人の請求通り、藤田さん夫妻に全額の支払いを命じた。
 判決によると、藤田さんの妻は1991年から、藤田さんを連帯保証人に業者から融資を受け始めた。94年3月時点で債務総額は5億5800万円に上り、藤田さん側と業者は「94年4月に一括返済する」とした公正証書を作成した。
 藤田さん側は「妻が無断で印鑑を押したもので、藤田さんに責任はない」「業者は違法な高金利で融資しており、支払い義務はない」などと主張したが、目代裁判官は「実印の保管状況や同意の有無について藤田さんらの話は具体的でない。違法な高金利とする証拠もない」として退けた。

最終更新:9月8日7時40分
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こういう裁判、結構よくあります。
ただ、一般的に言って、やはり契約書の署名押印の効力が優先することが多いですね。
民事訴訟法228条4項により、私文書は、本人又はその代理人の署名又は押印があるときは、真正に成立したものと認められることになっています。また、判例上、印影が本人の印章によるものである場合は、その印影は本人の意思に基づいて押印されたと推定されます(いわゆる「二段の推定」)。
つまり、署名と押印がその人のものだったら、その契約書の内容が正しいと推定されてしまい、これを争うものにはものすごく高いハードルが課されてしまうのです。
業界の標語で、「印鑑は空を飛ばない」というものがありますが、これも「二段の推定」を現したものです。
まして本件での原因証書は公正証書。
通常の私文書以上の証拠力があると言って差し支えないでしょう。
さすがの必殺仕事人も、ひとたまりもなかったのでしょうね。
ただ、私がこの記事で最も注目したのは、判決を言い渡した目代真理裁判官。
目代裁判官は、私の同期で、実務修習でも同じ班(東京修習2班)だったんですね。
名前の順番も近いので、よくお話ししてました。
すごーくのーんびりした方で、話し方もゆーっくり。
分類的には確実に癒し系。
そんなモクちゃんが、あの中村主水氏に厳しい判決を下したってのが、個人的に笑えました。
きっと法廷では、ゆーっくり判決を言い渡してたんでしょうね。
そんなモクちゃんのバックであの仕事人のテーマが流れてるのをつい想像してしまうワタシ。
ちなみに、我々実務家の間では、「印鑑が空を飛ぶ」瞬間があることが定説になってます。
婚姻届に押印した記憶がない人、結構いますよね。
ではまた。