遺言公正証書が無効と判断された件

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1月27日、横浜地裁で、今から約2年半前にお亡くなりになったXさん(=それまで数年間私が成年後見人を務めていた)が、成年後見開始決定発令の数年前(=当時Xさんは既に90才近い頃)に残していた遺言公正証書(=「そのわずか約1年前に婚姻届が提出されたばかりの戸籍上の後妻YにXの全財産を相続させる」というもの)の有効性を問題として、Xさんの身内の方々が原告となって、Yを被告として提起した遺言無効確認請求訴訟について、当該遺言公正証書を無効とする判決(=つまり、Xさんの身内の方々から見れば勝訴判決)が言い渡されました。

無効の理由は、簡単に申しあげると「遺言公正証書作成当時、Xには遺言を行う能力がなかった」というものです。

Y側からの控訴は必至ですが、きっとそのうち判例時報などに掲載されることになると思います。

 

遺言書の有効性が問題になることはままありますが、大概は自筆遺言書です。

遺言公正証書を、しかも遺言能力がなかったことを理由として無効と判断した判決はなかなかありませんので、大変貴重だと思います。

 

この件は本当に闇の深い事案で、まだまだ複数の紛争が係属しており、まだ細かくご説明できる状況ではありません。

が、一言申し上げるとすれば、

「明らかに判断能力を失った高齢の方が作成させられた遺言公正証書に納得のいかない方は、公正証書だからと言って諦めないでください」

「たとえば得体のしれない人物・会社・団体・宗教などが絡んでいても、怖がらずに落ち着いて、まずは弁護士にご相談下さい」

ということです。

同じような被害は防ぎたいと思います。

 

ではまた!!