新人指導

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先日、弁護士会から、弁護士会法律相談枠(30分1枠・合計4枠)の中で、新規登録弁護士を指導するよう依頼されました。
具体的には、まだ登録から1年未満の新規登録弁護士と二人で法律相談に入り、30分の中で、主に新規登録弁護士に受け答えをさせるとともに、適宜指導を交えつつ法律相談を終了させるように、というものです。
つまり、法律相談と新人指導を両立させなさい、ということです。
もう通算5~6回目かなと思いますが、毎回これが大変なのですよ。
30分という時間は、初対面の方から事情をお聞きして事実を把握し、相談内容を斟酌して判断し、一定レベルの法的回答を行うに当たっては、極めてタイトな時間です。
ゆっくり事情をお聞きしているだけで、30分なんてあっという間に経ってしまいますからね。
そのため、例えば15~20分は要領よくお話を伺い(脱線しそうになったら引き戻し)つつあれこれ考え、うまくまとめて5分くらいで回答する、それに対するさらなる疑問にもお答えし、そうして何とか30分内でおさめる、というようなテキパキとした手順が必須なのです。
とはいえ、さすがに弁護士を10年やっているわけですから、法律相談の内容や相談者さんの個性等にも寄りますが、自分一人で仕切る分には、法律相談を30分内にまとめることはそれほど大変というわけではありません。
しかし、今回のように指導担当を行う場合は、主として新規登録弁護士に話してもらわなくてはならないわけです。
これが難しいわけです。
指導をする方とはその日初めてご対面、という感じなので、キャラクターとか話の間合いとかも良く分かりませんしね。
うまくかみ合わないと、話も分からないし結論も出ない、言うなればサムイ上にオチもないお笑いコンビみたいな悲惨なことになってしまいます。
しかも、その日私が担当した法律相談は、いわゆる多重債務相談や離婚相談等の特定分野に限った法律相談ではなく、一般法律相談。
つまり何でもあり、どんな分野でも来い、という法律相談です。
それに、あとで新人くんも言っていましたが、事務所での顧問先からの法律相談などと違って、事前の情報提供等が何もないわけです。
言うなれば続けざまに様々な種類の道場破り(例:ボクシング→将棋→料理→サッカー、など)に遭うようなもんなわけです。
こればっかりは経験を積まないと、おいそれとは対応できないものです。
さらに、私の感覚としては、全件とも、事実面でも法的側面でもそれなりに難度の高い内容でした。
だから新人くんには、ちょっと荷が重かったかな。
それに、相談者さんの一部から「新人研修とか私には関係ないから、きちんとできる方(=私)が答えて下さい」というような要請もありました。
(普通に法律相談料を支払ってお越し頂いているわけですし、ごもっともですよね。。。)
そんなわけで、新人指導のはずが、最終的にはかなり私が前に出て回答するような流れになってしまいました。
そのようなこともあって、私なりに反省し、法律相談終了後にきちんと時間を取って、一件一件、一生懸命に解説・講評しました。
また、相談案件から離れて、業務における一般的な注意点とか考え方とかも、時間の許す限りお話ししました。
そうしたら、その新人くん、えらく感激したようで。
「ありがとうございました!こんなにきちんと指導して頂けるとは思いませんでした!」
??
どういうこと??
どうも、以前にも法律相談指導を受けたようなんですが(私のが2回目?)、そのときの指導担当の弁護士(名前は聞きませんでした)は、ほとんど実のある指導をしてくれなかったそうなんですね。
だから何だかちょっと腰が引けた感じがあったのか。
納得。
確かに後輩の指導ってすっごく大変なんです。
でも、我々だって誰しも諸先輩方から様々な形で指導を受けてきたわけですから、後輩指導をさぼっちゃいけませんよねぇ。
上から受けた恩は下へ返さないと。
体育会の鉄則です。
もしかすると、先輩弁護士も、腰を据えて新人の指導をするほど、精神的にも経済的にもゆとりがなくなってきているのかもしれませんね。
世知辛い話です。
諸先輩方が築き上げてきた良き伝統は、きちんと我々みんなで伝えていかないといけないのに。
それが我々みんなの責任でもあるはずです。
頑張れ新人。
あ、私もか。
ではまた。